バルドとは、バルドソドルのことで死んでから生まれ変わるまでのことをいいます。
「チベット死者の書」に、死んでゆく人々のための書物として書かれてあります。
第一部は死の瞬間に魂が経験する出来事について。
第二部は死の後に起こる一種の夢の状態、カルマの幻覚について。
第三部は再び生まれるときの本能的衝動、誕生に先立つ出来事について。
死から次の生に生まれるまで四十九日間続く存在の状態において、さまざまの変転する現象を経験する死者の魂を導くのが、バルドソドルです。
バルドソドルは、死の後、中間状態にいる時に心理的自由を与えるため、死者の傍らで、真理の力を説き聞かせるものです。
仏陀並びに菩薩の加護の祈願を7回、あるいは3回暗唱します。
バルドとは死後の世界を意味します。
バルドソドルは、臨終並びに死から再誕生へと転生していく死後49日間の中院(死後の中間状態)への死者への導きということです。
死者の埋葬のための儀礼法ではなく、私達の魂の実際的な導きであり、これなくして解放はないとまで言われるといいます。
人は師の瞬間に最も高い精神的頂点、精髄的な知恵、完全な解放の状態に達することができると言われ、死者を再誕生へと導くのが、バルドソドルです。
このバルドソドルはチベットの秘境に閉ざされ続けてきた導きの書の「バルドソドル」教典は、チベット仏教研究の先駆者として知られるオックスフォード・ジーザス大学宗教学教授のW.Y.イヴァンスーウェンズ博士、チベット語学の権威のラーマ・カジ・ダワーサムダップ師に長年の努力によって世にもたらされました。
心理学者のユングは 、死後に体験する世界=集合的無意識の世界は体を失った後にも意識は存在する、魂は存在すると言っています。
死後に私たちが体験する幻覚(神々や霊)は、実在しないのかというと、そうではなくて、集合的無意識の世界は確かに一つの世界として存在し、それが霊の世界、死後の世界だというのです。
ユングは「バルドソドル」について、「私の理念や発見の刺激、洞察力、哲学書になっている」と言っています。